【聖剣伝説2 SECRET of MANA】25年越しのリメイク【レビュー】
1993年にスーパーファミコンで発売された、アクションRPG「聖剣伝説2」が2018年にフルリメイクされた作品を遊んでみました。
オジリナル版は何度もクリアするくらい大好きで、聖剣シリーズの中では2が一番好きです。思い出補正はかなり効いてると思うので、そういう人が2022年に書いているレビューだと思ってください。
プラットフォーム | PS4,PS Vita,Windows |
ジャンル | アクションRPG |
発売日 | 2018年2月15日 |
開発元 | スクウェア・エニックス(発売当時はスクウェア) |
聖剣伝説2とは?
原作の聖剣伝説2はスーパーファミコンのため2Dドットで描かれた、見下ろし視点のフィールドを移動しながらストーリーを進めていくアクションRPGです。
気弱な少年「ランディ」は聖剣を引き抜いたことをきっかけに現れたモンスターをなんとかするために、王国大臣の娘「プリム」は恋人であるディラックを追いかけるために、記憶を失った妖精の子供「ポポイ」は故郷の村へ戻るため、それぞれの目的に向けて旅に出ます。
アクション部分については、最初は移動と武器での攻撃のみとかなりシンプルです。
攻撃の際、HPの下にあるパワーゲージを100%まで溜めて攻撃することで本来の攻撃力を放てます。同じ武器を使い続けて武器のレベルが上がると、攻撃ボタン長押しで100%を超えて力を溜めて必殺技が放てます。
ボタンを押す長さだけで放つ技の種類が変わるので簡単で楽しいです。
最大レベルの必殺技はなんかもう凄すぎて笑ってしまいますね。
連撃する技は数回ヒットするんですが、最初の1~2撃目で倒すもそのまま殴り続けるんで「もういい、もういいんだ!」ってなります。
ストーリーを進めると精霊の力を借りて魔法による攻撃や回復、支援なども行えるようになるので戦闘の幅が広がり一気に楽しくなります。
もちろん魔法も使い続けることで魔法レベルが上って威力や演出が派手になっていきます。
最大レベルでクリティカルが出ると専用演出もあるので是非見てほしいですね。
この戦闘が楽しいところが聖剣伝説2の最大の魅力です。
リメイクで何が変わったの?
ストーリーや戦闘、見下ろし画面の操作など基本的なところに変更はありません。
グラフィックは3Dですがほぼ完全再現という印象で原作と比べても違和感なく操作できます。
BGMやSEなどのサウンドも原作の雰囲気を壊すことなく制作されており、セリフに至っては主人公はもちろん村人までフルボイスです。
クリアまで遊んだ感想としては、原作の3Dリマスターという印象です。
グラフィックとサウンド以外は微調整といった感じで、リメイクと呼べるほど何かが変わった印象はなかったため、原作と同じように遊びたいという人にはとても良いかと思います。
逆にリメイクでより良いゲーム体験を期待している人には物足りなさを感じる作品となっているように思いました。
原作と比べて良くなっていると感じるところや気になったところをそれぞれ書いておきます。
リメイクってどうなん?と思っている人は参考にしてみてください。
良かったところ
キャラクターの深掘りがある
宿屋に泊まるとイベントが発生し、パーティメンバー同士や仲間になった精霊との会話などが行われ、どういう性格で何を想っているのかということが伺い知れます。
会話によりキャラクターの心の成長や、あまり描かれなかった精霊の性格の描写など、聖剣伝説2のファンとしては嬉しい追加要素です。
フルボイスによりイベントの臨場感が増している
キャラクターのイメージに合った声優が起用されているのと、シーンに合った演技でよりストーリーに入っていける印象でした。
個人的には中田譲治さんがタナトス役で出てきた時はテンション上がりました。こういう渋い声好きなんですよね。
ランディ:小野賢章
プリム:山本希望
ポポイ:加藤英美里
ルサ・ルカ:釘宮理恵
ディラック:佐藤拓也
ジェマ:津田英三
ヴァンドール皇帝:小野健一
ファウナッハ:園崎未恵
タナトス:中田譲治
ジーコ:チョー
精霊たちの声優も知りたかったのですが、エンディングでも「Various」となっており結局わからずじまいでした。
兼任されている方が多い印象で、この人かな?というのはありますが公開されてはいないので、声優が好きな方は探してみると面白いかもしれません。
余談ですが「ランディ」の発音がミサトさんの「エヴァー」の発音よろしく「ランディー」だったのは衝撃でした。文字通り「ディ」って短く切ると思ってました。
確かにシンディとかアンディの読みはディーって伸ばしてる気がしますね。違和感と共に妙な納得感。
BGMのアレンジがすごい
BGMも全てリメイクです。
作曲者の菊田裕樹さんも当然編曲していますが、その他に参加しているアレンジャーの顔ぶれがものすごくてびっくりしました。
ゲーム作曲家、オーケストレーター、ボカロP、バンド、シンガーソングライターなど、総勢15名がアレンジを行っています。
それぞれの個性が爆発しており、曲が流れる場面と曲調からイイ感じにアレンジされており、やはり「わかってるな」と感じることが多いです。
アレンジャーに個性的な人が多いため、聴く人によっては違和感を覚える方もいるかも知れません。そんな時は設定から原作の曲へ変更することも可能です。
この仕様にすることでこのような思い切ったアレンジにできているんでしょうね。
菊田さん本人がアレンジしている楽曲は原作のイメージそのままで、安定感のあるアレンジが聴けます。
↓こちらで試聴できます。
聖剣伝説2 Secret of Mana Original Soundtrack | SQUARE ENIX
個人的に一番好きなのは上倉紀行さん編曲の「鋼鉄と罠」です。
初出はタスマニカ王国で流れるので帝国が絡むダンジョンでよく流れるイメージです。
プログレッシブメタルな原曲を展開させてオリジナルパートを多量に追加してよりそれらしくしつつ、原曲のイメージは壊さない素晴らしいアレンジだと思いました。
逆に違和感を覚えたのはサウスタウンの「不思議なお話しを」です。
原曲ではアンニュイな雰囲気のPOPSという感じで、様々楽器が入れ替わり立ち替わりでメインメロディを奏でていく割りと爽やかな楽曲で、聖剣伝説2の中でも好きな曲上位に入る曲でした。
アレンジ版では恐らく曲の解釈が変わっている印象で、メインメロディの音量が一定ではなく、もはやメインメロディとして演奏されていないような構成となっていました。
メロディを聴かせるというよりはアンビエンスとして聴かせようとしているのかなと思いましたが、原曲がメロディアスなためアレンジには違和感というか、納得いかなかったのでサウスタウンにいる間だけはBGMを原曲に切り替えてました。
ミニマップが実装
原作では無かったミニマップが実装されました。
しかもミニマップは原作の2Dドットのマップそのままです。
見比べながら進めることができるのでなかなか楽しいですね。
ただ、原作のマップのため広い範囲は表示されず、あまりマップとしての役割を果たしてない気もします。
ワールドマップにあらすじと次の目的地が表示される
昔のゲームに「ゲームを起動したら次どこに行けばいいか分からない」ということがありがちです。聖剣伝説2もそうなのですが、リメイクではワールドマップに直近のあらすじと次に向かうべき目的地が書かれているためしらみつぶしに歩き回らなくて良くなりました。
物陰にいるときにキャラの枠が表示される
木の裏や建物の後ろなどにいる時、原作では全く見えませんでしたが、リメイクでは枠のみが表示されるようになりました。
元々画面の中央に操作キャラが来るようになっているので、どこにいるか分からないということはありませんでしたが、親切になってるなと感じました。
アイテムの最大所持数を変更できる
原作ではまんまるドロップや天使の聖杯などのアイテムは最大4個までしか持てませんでした。
デフォルトではそのままですが、設定画面から8個、12個を選べるようになりました。
4個だと序盤の特に魔女の城が結構キツかった記憶があります。
12個持てるとかなり安定して進められるのが良いですね。
お金が溜まりやすいかも
検証したわけではありませんが、印象としては原作よりもお金が溜まりやすい印象です。
例えば魔女の城では精霊が仲間になる前ということもあり、回復はアイテム頼りです。
近くに宿屋もないので死んでしまったら蘇生効果のある「天使の聖杯」を使う必要があります。
一応商人のニキータが出張価格ということで倍の300ルクで売ってくれるのですが、当時この時点では1個買うのがやっとだった思い出があります。
リメイクではプレイ済みということもありサクサク進んで来たのですが、余裕で複数買えるくらいのお金がありました。
また、空を飛べるようになってすぐ黄金島で性能が良くやたら高い装備が売っていますが、ほとんど揃えることができました。
原作では半分くらいしか買えず高級ブランド感があったのでよく覚えています。
ショートカットを設定できる
武器、アイテム、魔法を2つまでショートカットに設定でき、リングコマンドを開くことなく即実行できます。
よく使う回復系やレベルを上げたい魔法なんかを設定しておくとかなり便利です。
聖剣伝説2は魔法を使う度に熟練度が上がるので、宿屋に泊まる前によく魔法を連打するのですが、その時にも超便利でした。
武器レベルの確認画面で装備を変更できるのが良い
聖剣伝説2では武器を使うことによって武器の経験値を溜め、レベルを上げることでレベルに応じた必殺技が使えます。
そのため武器のステータス画面でレベルを上げられる武器を確認して、装備画面に移動して武器を切り替えるということをしていました。
リメイクでは武器のステータス画面で装備変更が可能となっており、めちゃくちゃ便利になってます。これ最高ですね。
気になったところ
リメイクといえば原作と変わっているところを見るのが醍醐味なところもあり、そうなってくると気になる部分も出てくるわけです。
あくまでも気付いたところだけにはなりますが書いてみたいと思います。
宿屋イベントの発生時期が適切じゃない
宿屋に泊まると発生する会話イベントですが、ストーリーが進むごとに見れるイベントが増えていき、泊まる度に順番に再生されます。
この仕様によりしばらく宿屋に泊まっていなかった場合、今のキャラクターの心情を聞きたい時はかなりの回数宿屋に泊まって過去分を消費しなければなりません。
恐らく見逃しをしないための仕様ぽいのですが、見たい人は再生されなくなるまで宿屋に泊まると思うので、ストーリーの進行度に沿った会話イベントが再生してくれたら良かったなって思いました。
そんな宿屋イベントですが、マタンゴ王国の宿屋で泊まってもイベントは発生しません。なんでやねん。
次の街(トド村かカッカラ王国)で宿屋に泊まるとマタンゴ王国の前のエリア(四季の森)の話をしていて違和感を覚えたので、仕様ではない気がしています。
このせいで発生するイベントのズレがより顕著になります。
ダッシュの挙動がおかしい
原作ではパワーカウンターが100%溜まった状態でまっすぐのみダッシュすることができました。
曲がる時はまたパワーカウンターを溜めてからダッシュしてました。
リメイクでは歩いている時にダッシュボタンを押すとダッシュを開始でき、そのまま方向転換も可能なので使い勝手はかなり上がっています。
階段でもダッシュ可能なのも良かったです。
ただし、止まっている時にダッシュボタンを受け付けないので、ちょっと慣れが必要ですね。
ダッシュの仕様として、パワーカウンターを消費してダッシュするらしいのですが、100%すら表示されなかったり99%から下がらなかったり細かい仕様がよくわかりません。
思ったところでダッシュが切れたり、ダッシュできてなかったりと最後までもやもやしました。
名前の変更は非推奨
フルボイスのせいで仲間の名前を変えると名前の部分が「プププ」という電子音になります。
試しにやってみただけなのでなんともですが、この電子音が随所で流れると結構ストレスになりそうな感じだったのでちょっと、どうなの、と思いました。慣れるのかな。
また、文字入力についてですが、Steam版では初期設定でスペースが決定のため文字を変換できませんでした。カタカナにしたい場合は入力を全角カナにしないといけないということになってました。これは流石に検証不足を感じましたね。
文字入力は名前を決める時だけなので、総合すると名前は変更しないことをおすすめします。
大砲では飛ぶシーンはカットされている
聖剣伝説2「らしさ」といえば大砲での移動シーンもそのひとつに挙がります。
そんな大砲ですが、乗り込むと発射後暗転して目的地に到着します。そう、飛ばされている間の描写がカットされていました。
スーパーファミコンの画像の拡大縮小の機能が使えないという理由らしいですが、せっかくフルリメイクなので別の表現で実装してほしかったですね。
細い道が通れない時がある
キャラ一人分の幅の通路が通れない時があります。
ダッシュしたりロードし直したりすると通れる時もありますが、戦闘中に遭遇するとちょっと困ります。
操作キャラはダッシュしたらいいのですが、仲間が通れないのでキャラを変えて操作したり、いっそ無視してエリアチェンジするとかしないといけないです。
私が確認できたのは↓あたりですが他にもあるかもしれません。
・ドワーフの洞窟(ガイアのヘソ)
・竜の穴(マタンゴ王国)
・サウスタウン~ノースタウンの下水道
仲間が障害物に引っかかる
3人パーティのうち一人を操作する関係で残りの2人はNPC操作となります。
主に戦闘中に自キャラと仲間NPCとの間に障害物がある場合、避けれず障害物に向かって走り続けるとういことが起きます。
リメイクでもこの現象は回避されませんでしたが、仲間が画面の中にいないと移動できないという仕様がなくなったので、一応無視できることで改善と受け取ることもできそうです。
集合時の速度が遅い
店で整列する時やボスを倒した時に集まるスピードが原作ではダッシュで素早く移動していましたが、なぜか歩くようになったのでテンポ悪い感じがします。
原作をプレイしていない人は違和感ないのかな?
難易度が全体的に低くなっている
最初に気付いたのはドワーフの洞窟のグリーンスライム戦です。
初遭遇での戦闘では倒しても倒しても分裂し続けてかなり苦労した記憶がありますが、ある程度ダメージを与えるとなぜか攻撃していないスライムも倒れました。
確信したのが魔女の城のタイガーキメラ戦ですね。
狭い上にマップ全体への攻撃で原作ではアイテム総力戦みたいな感じでしたが、リメイクではまんまるドロップ1個しか使いませんでした。
原作を知っているからこそ「気になったところ」に含めましたが、初めてプレイする人などにはクリアしやすい難易度に落ち着いたという印象なので、良かったと言えるかもしれません。
攻撃が当たらない
割りと本気で3回に1回程度しか当たらないので結構なストレスでした。
明らかに原作よりも当たらないので、難易度が下がっている事への調整として命中率を下げているのかなと思ってしまう程です。
もしそうなら敵の体力を上げて調整するとかしてほしかったですね。
強化できる武器が分かりづらい
ボスを倒して武器パワーを手に入れると、ドワーフの鍛冶屋「ワッツ」が武器を鍛えて強化してくれます。
原作では強化できる武器に色がついており、強化できない武器はモノクロなので迷うことなく武器を選択できました。
リメイクではすべての武器に色が付いており、カーソルを合わせて出る説明に強化先の武器が表示されれば強化可能という、確認するのにすべての武器に一度カーソルを合わせるという作業が必要になったので不便でした。
アイテムや魔法の説明が無い
原作のまま変わっていませんが、使うまで効果が不明です。
アイテムは名前のみで、魔法はざっくり効果と消費MPだけなので使ってみて覚える感じです。
フラミー呼び出しの効果音が合ってない
空を飛べる竜フラミーを呼び出すと、フラミーが画面左から右に移動するのに合わせて、本来は効果音も左から右へ通過していきます。
フラミーが左から右へ移動する時には既に効果音が終了していてズレまくってます。
評価が低いレビューは内容を見て欲しい
最後に、評価が低いレビューが多かったので内容を確認してみたところ、Steamでリリースされた当時、バグでゲームが強制終了するということがよく発生していたようです。
これについての評価が主な低評価となっており、時点でリメイクでの改善が期待値よりも下回っていた事への低評価でした。
現在ではバグは改善されているのでそこは安心して良いかと思います。私は遊んでいてゲームが終了するようなバグには遭遇しませんでした。
ただ、それ以外にも気になる点は多いので手放しで良かったと言えるリメイク作品ではないですが、再び聖剣伝説2が遊べて個人的には満足でした。