【Sea of Stars】カナダ発の2DドットJRPG【レビュー】

【Sea of Stars】カナダ発の2DドットJRPG【レビュー】

1990年代のJRPGにインスピレーションを受けた、ターン制のコマンドバトルRPG。

マップや移動、音楽など全体的な雰囲気はクロノトリガーからの流れを感じ、バトルはスーパマリオRPGを基盤としているためこのあたりが好きな層にはめちゃくちゃぶっ刺さるゲームになっている。

18時間ほど遊んだ時点での感想としてネタバレなしで書いていく。

プラットフォームPS4,PS5,Nintendo Switch,Xbox One,Xbox Seriese X/S,Windows
ジャンルRPG、アドベンチャー
発売日2023年8月29日
開発元Sabotage Studio

ストーリーと世界観

主人公は「至点の子」と呼ばれる男女で、それぞれ月と太陽の素質を持ち、怪物を生み出す邪悪な錬金術師に対抗するため「至点の戦士」を目指し旅立つところから物語が始まる。

浮遊島や巨大なゴーレム、眠り竜といったひと目でファンタジーとわかるものや、獣人や海賊なども登場するので世界観としては非常にわかりやすい。

それでいて文明的にはありがちな中世ヨーロッパ風ではなく、アジアからヨーロッパをごちゃまぜにしたようなものになっている。

最初は2人から始まり、段々と仲間や移動手段が増えていき、いろんな問題へと巻き込まれていくという王道展開で意外性は少ない(これからあるかもだけど)ものの物語の波がはっきりとしているのでストーリーを進めていてとても楽しい。

スーパーマリオRPGオマージュのバトル

一番の特徴はバトルにあると感じた。

戦闘の開始こそシンボルエンカウントでクロノトリガーのようにマップ上でシームレスに戦闘に移行するが、戦闘の内容はマリオRPGの感覚に近い。

攻撃時にタイミングよくボタンを押すと追加攻撃し、防御時にはダメージを軽減できる。

ゲームバランスについては上記追加入力の成功率が50%くらいを想定して調整されているように感じたので、ゲーム中に言われているように必ず成功させる必要はない。

操作自体は簡単なのにフェイントのような動きに惑わされたりしてとても悔しい。攻撃前に素振りするんじゃないよ。押しちゃうだろ。

スキル(通常攻撃以外の技や魔法)に関してももちろんオリジナルのものが多いが、マリオRPGの「スーパージャンプ」(失敗するまでタイミングよくボタン押す)や「ジーノキャノン」(最大まで溜めてボタンを離す)オマージュの技など馴染みのあるものもあり、知らない人は普通に楽しめるけど、知ってる人はニヤリとできる。

昔のJRPGのようなレベル上げは基本的には必要なく、順当に進めていけば適切な難易度になっているように思う。難しいと感じる場合はアイテムのオンオフで敵の強さ、追加入力の自動化、手に入るお金の量などを調整可能。このあたりは最近のRPGゲーム難易度のトレンドに沿っていると思う。

スキル以外にも、2人で技を放つ「コンボ」というものがある。

攻撃やスキルなどで行動する毎に最大3つまでゲージを貯めることができ、ゲージを消費して強力なコンボを放つことができる。

敵がスキルなどの大技を放つときは残りターン数と属性のスロットが表示される。斬撃、打撃、月魔法、太陽魔法など、対応する攻撃を行えばその枠は消え威力が落ちる。すべて枠を消すと発動自体を阻止できる。

すべての発動を阻止できるわけではないので、どの発動を阻止してどの発動を許容するのかの判断を求められる。

また、ゲームが進むと通常攻撃時に生マナがドロップし攻撃時のバフとして利用できるようになるので、ターンの順番や持っている属性攻撃の種類から戦略を組み立てていく楽しさがある。

レベルアップしたらマリオRPGのようにいずれかのステータスをボーナスでアップできる。このキャラは回復ができるからMPと魔法攻撃を上げる、力こそパワーで物理攻撃のみを上げ続けるなど特化しての割り振りや、平均的に強化して安定型にするなどプレイヤーの好みに合わせて調整できる。

移動が楽しい

ダンジョンや街などの通常エリアの移動では歩く/走る以外にも特定の隙間をジャンプする、段差を登る、降りる、水面を泳ぐ、物を移動させる、ワイヤーを引っ掛けて移動するといったアクションが行える。

アクションは実行できる場所に行きボタンを押すだけなので特に難しい操作は要求されない。

基本的には画面をよく見ると行ける場所がわかるようになっているが、2Dゲームでよくある建物の裏が移動できるギミックもあるので、一部は街の人が話す情報を聞くかしらみつぶしじゃないとたどり着けない場所もある。

音楽について

スーパーファミコンの16bitサウンドを再現して作成されており、当時のゲームを遊んだことがある人達が遊んでも音に違和感を覚えない仕上がりになっている。

曲調は90年代JRPG風で、クロノトリガーやゼノブレイドシリーズの光田康典さん(大好き)が10曲くらい楽曲提供で参加している。

光田節が炸裂しているので公式サイトで是非聴いてみてほしい。

ミニゲームが面白い

RPGにはミニゲームが付き物ではあるが、ゲーム内にマニュアルが存在するほど作り込まれている「ホイールズ」というミニゲームは単体のゲームとして見ても面白かった。

参加人数2人の対戦型のゲームで、お互いの体力10点を先に削り切ったほうが勝ち。

1ターン内に3回スロットを回し、一部保持をしながら最終的な行動枠を決める。ゲーム開始前に選んだ能力の異なる2つのユニットで攻撃や防御、敵の行動阻害などをしながら勝利を目指す。

実際にその世界にありそうなボードゲームとして作られているような木製ボードの見た目もとても良い。どういう仕組で動いているのか全くわからないけど、手前のレバーででガチャガチャ動かしていてほしい。

翻訳が優秀

海外発のゲームで日本語に対応している場合、結構な確率で不自然な翻訳が行われていることが多いが、Sea of Starsは基本的に自然に読めるように翻訳されている。

一部のセリフで何にも掛かっていない「なら」から始まっていたり、「それって~だし」のような独特な言い回しがあり若干のクセ強はある。

まとめ

海外のインディーゲームスタジオが開発したJRPGということで、気になるところがない訳では無いが、個人的にめちゃくちゃ楽しく遊ばせてもらっている。

主人公が日本受けしなさそうなキャラクターデザイン(行動含めて)をしていたり、ゲームデザインのベースが90年代のJRPG(懐ゲー)などを考えると誰でもハマれるとは断言できないが、少なくとも2DドットのJRPGが好きという人は最後まで遊べるくらいの面白さはあると思う。

私の進行状況としては物語が急展開してきたところでこの先どうなるかわからない状態になっているので、ここからもっと楽しんでいきたいと思っている。